祇園祭(ぎおんまつり)は、京都・八坂神社のお祭りで、葵祭・時代祭と並ぶ「京都三大祭」の一つとして知られています。毎年7月1日から31日までの1ヶ月間、さまざまな神事や行事(祇園祭日程)が行われ、京都の夏を華やかに彩ります。
なかでも最大の見どころが、7月17日の「前祭(さきまつり)山鉾巡行」と7月24日の「後祭(あとまつり)山鉾巡行」です。前祭では23基、後祭では11基の山鉾が、四条通・河原町通・御池通を練り歩き、まるで「動く美術館」と称される豪華な姿で観客を魅了します。
かつて応仁の乱の影響で一時中断していた祇園祭が再開された際、巡行の先陣争いが起こったことから、現在では7月2日に京都市役所で「くじ取り式」が行われます。巡行当日は、四条堺町(後祭は京都市役所前)に設けられた関所で京都市長(奉行)が順番を確認する「くじ改め」も実施されます。
なお、すべての山鉾がくじを引くわけではありません。「長刀鉾(前祭1番)」をはじめ、「函谷鉾(前祭5番)」「放下鉾(前祭21番)」「岩戸山(前祭22番)」「船鉾(前祭23番)」などの一部の山鉾は、毎年決まった順番で巡行するため「くじ取らず」と呼ばれています。後祭では、「橋弁慶山(後祭1番)」「北観音山(後祭2番・6番)」「南観音山(後祭2番・6番)」「鷹山(後祭10番)」「大船鉾(後祭11番)」などが該当します。
山鉾の「山」と「鉾」の違いは、屋根やご神体の後ろに松の木が立っているものが「山」、高い柱(真木)の先に鉾の飾り(鉾頭)が付いているものが「鉾」とされています(ただし、例外もあります)。
さらに、山の中でも2種類あり岩戸山・北観音山・南観音山のように車輪が付き40人から50人の曳手が引っ張っていく構造のものを曳山(ひきやま)、神輿のように曳手が担いでいるものを舁山(かきやま)と言います。
鉾もまた2種類あり長刀鉾のように車輪が付き曳手が引っ張っていく構造のものと、綾傘鉾・四条傘鉾のように大きな傘と巡行時には棒ふりが一緒に行進する傘鉾タイプがあります。
山鉾を飾る装飾も見どころの一つです。日本の友禅染をはじめ、ペルシャ絨毯、ベルギー製織物、ギリシャ神話をモチーフにしたタペストリーなど、国際色豊かな美術品で飾られており、それぞれに日本の神話や中国の故事にちなんだご神体が乗せられています。
こうした美術工芸の粋を集めた山鉾は世界的にも高く評価され、2009年には「京都祇園祭の山鉾行事」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。
宵山をより深く楽しむには、ブログ『祇園祭宵山を10倍楽しむ!』をご覧ください。スマートフォン・タブレットでも見れる「祇園祭宵山山鉾マップ」を用意しました。
※各山鉾の説明文は、宵山で立てられていた京都市の立て札を一部参考にしてます
長刀鉾(なぎなたほこ)は、鉾頭に大長刀(おおなぎなた)を掲げる山鉾で、古くから山鉾巡行の先頭を担います。疫病や邪気を祓うとされる大長刀は、京都御所や八坂神社に刃先が向かないよう、巡行時に角度が調整されます。現在の大長刀は竹製で、本物は神聖な神品として保管されています。
鉾頭は、刀工・三条宗近作と伝えられるもので、天文5年(1536年)の法華の乱で一時紛失しましたが、翌年に八坂神社(当時の感神院)に戻され、現在は長刀鉾町で保管されています。ただし、一般には公開されていません。その後、延宝3年(1676年)に和泉来金道が新たに鉾頭を作製しましたが、重くて巡行時に大きく揺れたため、天保8年(1837年)以降は現在の竹製に変更されました。
長刀鉾は、山鉾の中で唯一「生稚児(いきちご)」が乗る山鉾としても知られており、前祭の山鉾巡行では稚児が注連縄(しめなわ)を太刀で切る「注連縄切り」を行います。長刀鉾の稚児は、7月1日の「長刀鉾町御千度」、7月5日の「長刀鉾稚児舞披露」、7月13日の「稚児社参」などの行事にも登場し、多くの参拝者の注目を集めます。
7月12日には、長刀鉾の曳初めが行われます。宵山期間中は長刀鉾の内部に登ることができますが、「女人禁制」とされています。鉾の天井には、星座をあしらった美しい装飾も施されており、訪れる人々を魅了します。
蟷螂山(とうろうやま)は、車にひかれそうになったカマキリが鎌を振り上げて立ち向かったという、中国の古い故事に由来する山鉾です。この勇敢な姿に敬意を表し、四条隆資(しじょうたかすけ)の武勇と重ね合わせて、四条家の御所車にカマキリを乗せて巡行したのが起源とされています。
明治時代以降、一時中断していましたが、昭和56年(1981年)に復活しました。山鉾の中で唯一、からくり仕掛けを備えており、カマキリの頭や鎌、羽の部分、さらには御所車の車輪までが動くのが大きな特徴です。このユニークな姿から、別名「カマキリ山」とも呼ばれ親しまれています。宵山の期間には「カマキリおみくじ」も人気。
芦刈山(あしかりやま)は、謡曲『芦刈』に由来する山鉾です。物語は、妻と別れた老翁が難波の浦で芦を刈るうちに、やがて妻と再会を果たすという感動的な内容で、ご神体にはその老翁が表現されています。
ご神体の衣装は、現存する山鉾の中でも最古とされる貴重なもので、胴掛には尾形光琳原作の「燕子花図(かきつばたず)」があしらわれています。また、前懸には精悍なライオンが描かれており、力強さと美しさを兼ね備えた意匠が見る人を引きつけます。
木賊山(とくさやま)は、世阿弥の謡曲『木賊(とくさ)』に由来する山鉾です。ご神体は、わが子を人にさらわれた老翁が、信濃国・伏屋の里で木賊を刈る姿を表しています。宵山では、ご神体をはじめ、前掛や水引などの装飾を間近で見ることができ、迷子除けの護符も授与されます。
鶏鉾(にわとりほこ)は、堯(ぎょう)の時代、天下がよく治まり、訴訟用の太鼓(諫鼓)が使われなくなって鶏が巣を作ったという中国の古事に由来します。鉾頭には、三角形の中に鶏卵を象徴する金の円があしらわれています。
見送りは、16世紀頃に制作されたベルギー製のタペストリー「トロイのヘクトールが妻子に別れを告げる図」で、国の重要文化財に指定。山鉾巡行では稚児人形が乗り込みます。
孟宗山(もそうやま)は、中国の親孝行の物語「二十四孝」に由来し、雪の中で母の欲しがる筍を掘り当てた孟宗の姿をご神体としています。親孝行のご利益があるとされ、授与される粽(ちまき)は人気です。別名「筍山(たけのこやま)」とも呼ばれています。
山伏山(やまぶしやま)は、傾いた法観寺の塔(八坂の塔)を法力で直したとされる浄蔵貴所(じょうぞうきしょ)をご神体としています。山伏姿は、大峰山への修行登山「大峰入り」の様子を表しています。宵山では、2階に安置されたご神体を下から見上げて拝観することができます。また、7月15日には、聖護院の山伏による護摩焚きが行われます。
放下鉾(ほうかほこ)は、天王座に放下僧を祀ることに由来します。鉾頭は、金色の日・月・星が下界を照らす形をしており、その形状から別名「州浜鉾(すはまぼこ)」とも呼ばれます。見送りは文政11年(1828)製の西陣織。昭和4年以降、生稚児に代わり、稚児人形「三光丸(さんこうまる)」が乗るようになりました。山鉾巡行では、鉾の上で稚児人形による稚児舞が披露されます。
鯉山(こいやま)は、約1.5メートルもある鯉(左甚五郎作)が印象的な山で、黄河の龍門の滝を登った鯉が龍になるという登竜門の故事に由来します。前懸・胴懸・水引・見送りには、16世紀のベルギー製タペストリーが用いられ、「イーリアス」に登場するトロイア戦争の場面が描かれています。これらのタペストリーは、もともと5枚1組のうちの1枚とされる貴重な品です。宵山では、立身出世のお守りが授与されます。
八幡山(はちまんやま)は、町内に祀られている八幡宮を勧請した山です。山鉾巡行時には、朱塗りの鳥居に左甚五郎作の二羽の鳩が向かい合ってとまっており、印象的な装飾となっています。宵山では、総金箔で覆われた小祠を間近で拝観することができます。
黒主山(くろぬしやま)のご神体は、平安時代の歌人・大伴黒主(おおとものくろぬし)が桜を仰ぎ眺める姿で、謡曲『志賀』に由来します。山に飾られる造花の桜と粽を玄関に掲げておくと、悪事が入り込まないといわれています。
鷹山(たかやま)のご神体は、鷹匠・犬飼・樽負の三体で、在原行平が光孝天皇の御幸に際して行った鷹狩りに由来します。真木(真松)には、雉(きじ)が一羽あしらわれています。
文政10年(1827)、前年の巡行中に雨で懸装品が損傷し、不参加となりました。さらに元治元年(1864)の大火で、ご神体の頭部など一部を残して焼失。以後は長らく休み山(居祭)でしたが、令和元年(2019年)の唐櫃巡行を経て、令和4年(2022年)には曳山として196年ぶりに巡行復帰を果たしました。
大船鉾(おおふねほこ)は、禁門の変(蛤御門の変)で焼失するまで、旧暦6月14日(現在の7月24日)の後祭で最後尾を飾っていた鉾です。その後、復興されず長らく休山となっていましたが、2012年から山鉾巡行に唐櫃や屋台で参加し、2014年には150年ぶりに本格復活。現在は後祭山鉾巡行の殿(しんがり)をつとめています。
御祭神は神功皇后で、屋形中央に祀られ、屋形前部には住吉明神、艫部には鹿島明神、舳先には安曇磯良の三神が随従しています。船首には、隔年で大金弊(だいきんぺい)か龍頭(りゅうず)が飾られ、龍頭には金箔が施されています。
梶(かじ)は下り龍と波濤の図、水引には飛竜に波濤の図が描かれています。大船鉾は、前祭の船鉾に比べて約1割大きく、令和6年(2024年)には、全ての山鉾の中で史上最大となる車輪(直径2.13m、重さ685kg)に新調されました。
なお、2011年10月から2017年7月まで、京都ヨドバシカメラビル1階北東角にて、大船鉾の実物が展示されていました。
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